渡辺美里「10years」

歌手としての第一人者として25年を疾走しつつある渡辺美里の代表作であり、毎夏の西武ドームコンサートでは頻繁に唄われる名曲であり、そして俺にとって一番心に刺さる曲だ。

「あれから10年も この先10年も」

10年前の明朗だけど複雑で繊細だった感情を引きずりながら、前を見て成長することで何かを得て、それと引き換えに何かを失った。その漠とした喪失感を振り返る。そこには何もないことは分かっている。
そして将来に対する期待と不安、そして諦め。10年経ったら俺はどうなるんだろう、どうしたいんだろう。募る焦りを同時に抱える。

「振り向かない 急がない 立ち止まらない」
「行きづまり うずくまり かけずり回り」

失われた10年、これからの10年。つまずきながら前に進んだ先に何が見えるのだろうか。彼女はたたみかけるようにこう綴った。


「大切なものは何か 今もまだ見つけられないよ」