小沢健二「流れ星ビバップ」

当時俺は大学生だった。ただ女の尻を追いかけるしか能がないようなありふれた学生だった。そして友達の家で酒を飲み、都合の悪いことは忘れ、実験とレポート、サークルに追われる毎日。莫迦らしいけれどもそれなりに満足していた。

大学の頃、一生の契りを交わしても構わなかったほどの恋に落ちた。そして刹那な愛の末に吐き出された結果、種のような心のカタマリが、俺を、そして彼女を傷つけた。お互い子供だったんだろう。

この間晴天の世田谷で空を見上げた。閑散とした住宅街では、光害とは無縁の満天の星が見られた。この東京という都市で、星を見つめながら彼女のことを思い出した。本当は忘れるべきだ。忘れなくちゃいけないのだ。

「忘れかけた過ち」、彼女に狂っていた頃の俺。何度も口づけをして、彼女だけを思いやりたかった。けれどお互いの想いは軋みを覚え苛立ちだけが残り、哀しいけれども離れざるを得なかった。

僕たちがいた場所は 遠い遠い光の彼方に
そしていつか全ては優しさの 中へ消えてゆくんだね

俺は彼女に対して出来る限りの優しさを与えられただろうか!!